CAUTION!!
この小説は水橋パルスィが幻想郷に来る前……人間だったパルスィが鬼になったときの話です。
宇治の橋姫という妖怪のお話上、すごくグロいです。人間死にまくりです。
また、俺設定てんこ盛りで、もしかしたら矛盾が発生してるかもしれません
それでも構わないという方は、どうぞスクロールしてください。











昔の私は、日本人らしい容姿をしていた。黒い髪に黒い目。腰まで伸ばした髪は、女の武器として洗練され、綺麗な艶を持っていた。
透き通り光を宿す目は、煌めいており、黒真珠のようだった。
肌も白かったし、顔の造形だって悪いわけじゃない。
ただ、それは若く、そして商人という身なりを考える職業に就いていたからだろう。
そして、私と同じ立場の女性であれば……私と同等のそれは持てていた。あまりにも平凡な綺麗さであった。まさに、それなりの、というべきな容姿だった。
私は昔そんな人間だった。今では醜い鬼と化したが……たしかに人としての生を謳歌していたはずだった。
そして、今から話すのは、私が鬼と化した時の話。
宇治の橋姫が――水橋パルスィという鬼が生まれ、地底に堕ちてくるまでの話。




つい先程、私が商人に就いていたと言ったが、“私が”というのは正確ではなかった。商人だったのは私の親の話であり、私の夫である“あの人”の話だった。
私は私の家の店の看板娘として育ち、あの人の元へ嫁いでいった。
あの人は私の親と仲が良い店の跡取り息子だった。私は自分の親とあの人の親とで交わされた約束により、出会わせられ、結婚させられた。
そして、結婚させられたことにより、親元を離れ、私はあの人の住む京都へと行くことになった。
別に不満などはなかった。あの人は優しかった。
私のことを綺麗だと言ってくれた。私のことを抱きしめてくれた。私のことを褒めてくれた。私を優しく抱いてくれた。
私はあの人の事がすぐ好きになって、あの人と結婚できたことを嬉しく思った。
最初はいっぱいいっぱいだったあの人の店のお手伝い。それも、一年経てばかなり上手になった。そのころには料理だって、裁縫だって上手になってた。
私たちは一歩ずつ順調に、共に歩み、進んでいた。そして、それが永遠に続くと思っていた。
しかし、結婚生活が二年ほど経ったころ。
あの人は私たち二人の家で夜を過ごすことが減った。
お得意の店との商談が毎日朝まであって帰ってこられないのだと、私はそう伝えられていた。私はそれを聞いて、一混じりの疑念も抱かなかった。
あの人が商談の時に平気で嘘を吐くのを横で見ていたのに。
あの人が自分のためなら誰にでも嘘を吐けるのを知っていたはずなのに……あの人が私を騙すはずないと思っていた。
それは、信頼……だったのだろう。私はあの人を信じきっていた。
そして、私は簡単に裏切られた。


それは、あの人が“商談”であると言ってまた帰らなかったある日の朝。私は店を御義父さんたちに任せて少し遠くの――普段はいかないような仕入先に向かった。
そして、そこへ向かう途中、宇治川のところにさしかかったとき……見てしまったのだ。
――あの人を。そして、あの人と仲睦まじそうに寄り添いあう見知らぬ女の姿を。
最初に見た時には商談相手なのかと思った。いや、そう思いたかった。
そのころの私は、浮気という言葉を知っていたが、それは自分とは縁遠い存在だと思っていたからだ。
だが、あの人とその女は、ただの商談相手にしてはやけにくっついていた。腕を組み、顔には屈託のない笑みが零れていた。
私には、あの人のそんな表情が懐かしく思えた。
それは、あの人の隣にいるときの私の表情と同じだった。心の底から喜んでいる時の笑顔。
私の前で、あの人はそんな表情を浮かべたことはあまりない。それは、あの人が顔にはっきりとした表情を浮かべないからだと思っていた。
だが、今のあの人の表情はまさに笑顔。私は見たことのないその表情。
……本当に嬉しい時の顔だった。
それは、ここ二年間で私が一番見たかった表情なのだろう。私が愛されているのだとわかる表情なのだから。
私はまず、絶望した。私が捨てられたという事実と私が裏切られたという事実の板挟み。
辛かった。胸が痛くて、苦しかった。涙が勝手に零れ出ていた。
私は下を向いて、ぐっと悲しみに堪えた。しかし、涙は止まらない。そしてそこで気づいた。
私はいつのまにか、これでもかという力をこめて手を握りしめていたのだ。
長く伸ばし、整えていた爪が手の平に刺さり、血が流れ出していた。だが、痛みは感じなかった。
その時の私は痛みを感じることが出来ないほど、心を怒りで埋め尽くされていた。絶望の次は怒りだった。
私は、頭の中から何かが失われる音がした。頭が真っ黒に染め上げられる。
私はそんな黒さが怖くなった。このままでは人ならざる者となってしまう気がした。なにかに狂ってしまいそうだった。
私はギリギリの所で、黒さへ踏み込んでいなかった。まだ、あの人への信頼が心の片隅に残っていたのかもしれない。
その信頼は、私のただの勘違いであり、私はまだ捨てられていないのだと、思いたかっただけなのだが。
しかも、唯一のそんな望みは、呆気なく打ち砕かれた。
私が顔を上げたとき、あの人とあの女は熱い抱擁と接吻を交わしていた。
私だって、あの人にあんなことをされたことはないのに。朝早くで、周りに人が少ないとはいえ、それなりに人はいるのだ。なのに、そんな往来での行為。
私はとっさにそんな行為から体ごと目をそらした。
そして、そんな行為を目の前でみせられた私は、もう何が何だかわからなくなった。私の最後の糸がぷつんと音をたてて切れた。



――妬ましかった。あの人を奪ったあの女が。私の手に入れられなかった物を手に入れたあの女が。
そして、私を捨てたあの人が妬ましかった。
私は黒くて深くて冷たい道へと踏み出した。それは、狂気の道であり、鬼の道であった。
私は思考が塗り潰されたまま、宇治川の方へと歩きだした。
最初は、川へと身を投げ出せば悲しみから解放される、と絶望の末から考えた行動だった。
しかし、宇治川に映った私の顔を見た時、それは適切でない行動だと気づいた。
映った私の顔は、絶望に苦しむ顔じゃなく、怒りに震える顔だった。私の心は絶望よりも怒りに包まれていたのだ。
それがわかって、私は自ら命を断つことが正解でないと知った。
私がやるべきことは………復讐だ。
私に絶望を与えたあの人とあの女を憎むことが必要だ。あいつらが幸せにならないようにしよう。
しかし、具体的になにをすればいいのか、などいうことは私にはいっさいわからない。
そこで、私はあることを思い付いた。貴船神社への七夜詣だ。
今思い返せば、かなり馬鹿な行為であると思う。なぜなら、私はこんな運命を用意した神に何も疑い無く縋ったのだ。
今後、神すらも妬む私にとっては、この行為は滑稽である。
だか、貴船神社への七夜詣は無駄ではなかった。
そこで私は信託を受けたのだ。それは私が鬼へと変わる方法であった。
まず、私は顔に丹を塗り、顔を真っ赤にする。そして、頭に五徳を被り、周りに火を点す。
その後に私があの情事を目撃した宇治川に三十七夜身を浸せば、私は鬼へと変じ、あの人とあの女を殺せるのだという。
三十七夜も家を空けるのは、さすがにまずいかとも思い、一度家へ帰ろうと考えた。しかし、私は七夜詣の時点で家を七日も家に帰っていない。
ならば、既に私は行方不明となっているであろう。ならば、今更帰る方がややこしい。
そして……帰って、あの人に会ったら……私はどうなってしまうかわからなかった。
あの人に懐柔されるかもしれないし、あの人を衝動に任せて殺そうとしてしまうかもしれない。
私にとって、私はどちらの道も最善ではない。前者はもちろん、後者もだ。後者は、あの人を確実に殺せるかわからないし、あの女への妬みは晴れない。
ならば、このまま強攻し、三十七夜を過ごすべきだと、私は判断した。
そう心の中で決めてからの私の行動は迅速だった。
私はまず最初に顔に塗るための丹を購入した。購入の代金は七日前に御義父さんからお使いのためとして渡されたお金を使用した。
罪悪感などはいっさい沸かなかった。
続いて、私は五徳を買い、準備を整えた。



買い物を済ませた私は、宇治川の橋の元へ向かい、橋の下に下りた。
三十七夜もここにいるのであれば一目のつかない場所が良いと思ったのだ。橋の下であれば、日が当たらないために、暗くて見えづらいだろう。
そして、川の水面に恐る恐る足を近づけていった。川の水は冷たかった。
しかし、川の水が冷たくても、私の心の嫉妬の炎は消えることを知らなかった。
炎は暑く燃え上がり、私の中を蝕んでいく。
私は川に肩まで浸かって、橋の下の暗闇へと忍び込む。三十七夜もの長い時間は、月が半分欠けていた夜に始まりをつげた。


そして、私はずっとずっと水に、川に浸かりつづけた。
もうすでに、何日宇治川に浸かっているのかわからなくなっていた。まだ七日しかたっていないかもしれないし、もつ三十日近くまで経ったかもしれない。
私には、何度日が沈んだかなんて関係なくなっていた。―――とにかく、お腹が空いていた。ここには、水も沢山あるのに、のどもかわいてきた。
そして、私が最も餓えていて、我慢できなくなりそうだったとき。橋の上から笑い声が聞こえた。
その声がうっとおしかったから、声の主を見ようと顔を覗かせた。そして、私の目に映ったのは一組の若い男女が楽しそうに笑いながら渡っている姿だった。
普通に愛し愛され、幸せの絶唱にいるような典型的な恋人同士。
私の心に、どす黒い物が現れた。
なぜ、あの二人のように私たちはいれなかったのだろう。なぜ、私はあんな風に幸せになれなかったのだろう。
あの二人は幸せそうで―――妬ましい。
そして、気づいたら私の目の前には死体が転がっていた。その死体は先程の男女だった。
腹をえぐられ、手足がもぎとられ、顔は血まみれ。酷いくらい、血が死体から流れ出していた。
死体があったのは橋の下。私がいる橋の下。そして、死体には足りない部分が多すぎた。
ちぎられた手足はどこにも転がっていない。腹の中身は無惨に食い散らかされていて、目はえぐられていた。
―――そして、私の口と手と……体中から血の臭いがした。鉄がさびたような臭い。それがただよっている。
丹が塗られているために、色はわからないのだが、それでも血が私にこびりついているのは理解できた。
これが意味するのは……私がこの男女二人を喰らったということだ。
餓えをしのぐために、血を啜り肉を食べたのだ。私は鬼となっていた。もうすでに三十七夜を経ていたのだ。
そして、私の心は既に壊れていた。浸かり続けている間、あの人とあの女をずっとずっと妬んでいたからだろう。
昔の素直だった私は消え、ただの嫉妬狂いへと変わっていた。
そうでなければ私は人の死に耐えられなかっただろうし、自分が人を殺したことにはもっと耐えられなかっただろう。 
こうして、鬼の私は生まれた。それは、暗い闇の天井に、大きな満月が輝いていた日のことだった。



そして、私は鬼として橋の下にいることにした。
今すぐ、あの人の元へ行って、あの女と共に食い殺したかったが、今の私はお腹が空いて、喉が渇いて、たまらなかったのだ。
人間二人程度では足りない。私はまだまだまだまだ食べ足りない。これではあの人の元へ向かう途中に空腹で倒れてしまう。
ならば、大物がかかって、お腹が満たされるまで、我慢だ。私は三十七夜も橋の下で我慢していたのだ。ならば、これからだって待つことはできる。
私は、あの人を食い殺せる日を待ち遠しく思いながら、橋の上を通る男女を食い殺していった。
狙うのは、私の嫉妬を煽ってくるような奴らだ。
男と女で一緒にいるような奴らは妬ましい。
楽しそうに笑っている奴らは妬ましい。
見目美しい奴らは妬ましい。
お金がたくさんある奴らは妬ましい。
友達に囲まれてる奴らは妬ましい。
身分が高い奴らは妬ましい。
自分の愉しみを持っている奴は妬ましい。
一人で生きていけるくらい心が強い奴が妬ましい。
自分の事だけ考えてられる奴が妬ましい。
何もかもが……私には妬ましかった。まぁ、つまりは橋を夜に渡ってくるような奴らは私の食事になった。
一番多かったのは恋人同士を一緒に食べることだった気がする。
どいつもこいつも私の事を見るとすぐに逃げ出す。最初は普通だった私の姿が、だんだんと鬼へと変わっているからだ。
髪は金髪。目は緑色。耳は先っぽがすっと尖っている。
これが、異形と言わずなんというべきだろう。私は完全に人ではなくなっていた。
そして、この私の姿を見たときの恋人達の反応は、大体二つにわかれる。
一つは、男が女を守って私の前に立ち塞がる。
もう一つは、男が女を置いて先に逃げる。
前者は、男の女への愛が妬ましかったから食べた。後者は女を捨てた男というのがあの人と被ったから食べた。男も女も食べた。
―――私は、この時点で気づくべきだったのだ。
既に、私が嫉妬で殺してるのではなく、純粋に殺しを楽しんでるということに―――


そして、私がしばらく一日一日の食料として、人を食べつづけ、その数が20人を越えた頃だった。
その日の数日前から、橋に夜来る人は少なくなっていた。私の噂が流れているのだろう。
町民は夜出歩かないようにしていた。
だが、その日の夜、集団の足音がしたのだ。私は奇妙な感覚がした。
私は相手から見えないように注意しながらそちらを橋の下から覗いてみた。
その集団の数は片手で数え切れないほどいた。
その全員が腰に刀をはいている。武士のようだった。
私を討伐にし来た奴らだろうか。橋の前まで来ると、腰の刀を取り出して、宇治の橋姫はいないか、と言い出した。貴様を退治しに来た、とも言っている。
やはり、私を探しにきたようだ。さらにいえば、私の邪魔をしに来たらしい。
私は橋の下から飛び上がって武士達の前に姿を見せる。武士達は私が急に現れたようにでも見えたのか、動揺していた。
そして、私はその動揺を見逃さなかった。
私は一番近くにいた武士の喉元に噛み付いた。その武士は、短い悲鳴をあげる。
しかし、私はそれを気にすることなく、顎に力をこめる。みきみきと骨が軋む音が聞こえる。
喉から血がたくさんたくさん出てきて、私はその血を飲み込む。口の中に血の味が広がる。
私は武士の喉をそのままひきちぎる。そして、私はその武士を川の方に放り投げながら、横にいた武士にとびかかる。
武士は、私に刀を振り下ろす。だが、その刀は恐怖のあまりか妙な軌道をしており、私は刀を避けて、私の爪の伸びた手を武士の胸元に突き出した。
爪は、ぐちゃりという音と共に武士の体の中に侵入する。
飛び散る鮮血。私の手に暖かい物がかかる。
私はそのまま手を武士の体に押し込んで、どくどくと動く“心臓”をもぎ取る。
“心臓”を抜き取ると、最初の武士とは桁違いの血が吹き出した。私は“心臓”を口にいれ、ゆっくりと咀嚼する。
そして、“心臓”を飲み込んでから周りを見渡す。
三人に囲まれていた。
三人の武士たちの表情は、いずれも歪んでいる。それは、仲間を殺された怒りか………はたまた私への恐怖か。
武士たちは一斉に襲いかかってきた。三方からの攻撃。避け切れないと思った私は、目の前から襲ってきた武士の胸元に飛び込んだ。
そして、その武士の腕を掴んで、右から来ている武士にその腕を向けた。
その腕には刀が握られているわけであり、その刀は右から来た武士の体に突き刺さった。
私の掴んでいる腕の骨が折れる音と、刀が突き刺さる音……そして――私の左腕に切り傷ができる音、の三つが重なった。
左から来た武士による攻撃であった。私の今の行動では二人までしか対処出来なかったのだ。
私は痛くて泣きたくなった。
そして、私を傷つけたその武士が妬ましいからお腹に手を突っ込んでやった。
ぐちゃぐちゃとお腹の中を掻き混ぜてから、内臓をいくつか引きずり出す。内臓は、桃色と朱色の混ざった色をしていた。
私が先程腕の骨を折った武士は、腕の痛みからか、私の足元に転がっていた。私は、武士の頭を掴んで、手を握りしめた。
武士の頭は血と脳みそをぶちまけながら潰れた。

圧倒的な力の差が、私と武士の間に存在していた。それは……私が鬼になったことによる副産物。
人間の腕からへし折れる握力。橋の下から上に飛び上がれる脚力。相手の攻撃の軌道がわかる導体視力。そして、人間に噛み付き、噛みちぎれるほどの牙と顎。
私の犬歯は発達し、狼達のような歯並びになっていた。
そして、この力があるからこそ、私は人を殺すことが出来た。
残っていた武士たちは、私の殺戮に恐怖し、その場から一目散に逃げ出した。仲間を無惨にも殺された彼等は、自分の命惜しさに逃げ出してしまったのた。
仲間が生きているかもしれないという可能性があるにも関わらず、彼等は逃げ出した……
そして、私は逃げ出した武士たちに別に興味はわかなかったから、追い掛けることはない。
私は足元に転がる武士たちに目を向ける。武士の中で、唯一一人だけが今だに生きているようだった。
仲間の刀が突き刺さっている武士である。気を失ってはいるが息をしている。
私はその武士の肉体を持ち上げると、首元に噛み付いた。血が溢れ出してくる。
私は口の中が血で粘つくことも構わずに、肉をひきちぎり、骨をかみ砕く。
それを、ひたすらに五人分続けた。
五人は一部の肉片を除いて私の腹の中に収まった。残った一部の肉片は宇治川に放り込む。
その作業が終わると、私は深く息を吐きだす。それは、殺しに疲れてのため息などではない。
ただ、“お腹がいっぱいになった”ことによる安堵感によるものだ。
――これで……私はあの人とあの女を食いに行くことが出来る。
私を橋に縛り付けていた空腹という感覚はなくなった。ならば、ここに留まる理由などない。
私は左腕の傷を押さえながら歩き出す。向かう先は、私が二年すんでいたあの人の家。きっと、あの人もあの女も……そこにいる。
私は復讐を果たせるという喜びから、笑い声を心の底から吐き出す。
こんなに……こんなに嬉しいのは久しぶりだった。



私は、この時から意識が曖昧になっている。
嫉妬狂いである鬼の私は、復讐という悲願の実行が手に届きそうになったために、私の理性の全てを奪い尽くした。
それは、最後の最期にあの人を殺すのを躊躇しないための措置でもあったのだと思う。
理性がなくなって、残ったのは本能と嫉妬、そして殺戮の欲求だけだった。
だから、記憶は途切れ途切れにしか残っていないし、思い出せるのはたった二つのこと。
一つは、私が源頼光の部下という、渡辺の姓を名乗る武士に殺されたこと。
もう一つは……私が復讐を果たすことが出来なかったこと。
家に向かう途中――たしか一条戻り橋のあたりだった――本能だけで動いていた私は“知恵”により殺されてしまったわけだ。
理性が残っていたなら、あの武士の知恵には負けなかったかもしれない。だが、理性が残っていたなら―――鬼でなかった私なら“武力”により敗北していただろう。
つまり、あの武士に会った時点で……私の復讐は叶うはずがなかったのだ。
そして、そこで殺されたこと私が次に意識をはっきりさせたのは……目の前に大きな川が流れる場所だった――



――Go to next prologue


あとがき
というわけで、パルスィの話でした。
いろいろ調べたのですが、とりあえず私としてのパルスィの昔話はこのような感じです。
そして、ラストのネクストプロローグからわかるように、この小説は続きます。
私の時間的な意味で……ここでまでしか書けなかったのです。
頑張って続きます。努力します。
今回の地の文だけ、は非常に疲れました。というわけで、次はちゃんと会話文があります。
というか、オリキャラをしゃべらせたくなかったから地の文だけなんですけどね←

ちなみに、最後パルスィが殺されるシーンをちゃんと書かなかったのは、気分です。
というか、パルスィが殺されるとか勘弁してください。マジで←


小説のページに戻る
トップページに戻る